ライフプラン -教育費用について-

前回の記事で、将来のお金の収支状況を可視化して生活設計を見直す「ライフプランニング」をご紹介しました。
人生の生活設計における3大支出は、住宅購入、教育資金、老後資金と言われています。今回の記事では、そのうちの教育資金について説明をしたいと思います。
ライフプランニングを行う上で、大きな支出となる教育資金について、どの程度の資金を考えておけばよいかを考えてみましょう。

 

お子様にかかる教育費用

早速ですが、幼稚園から大学卒業まで、1人のお子様にかかる教育費用を見ていきましょう。

幼稚園~高等学校での教育費用

以下、幼稚園~高等学校までの1年間の教育費用の実情を公立、私立別に記載しています。
なお、「学校教育費」は、授業料、図書・文房具類の購入費用、修学旅行費用、クラブ活動など、学校で実際にかかる費用です。「学校外活動費」は、学習塾や家庭教師の費用や、学校外での文化芸術・スポーツ等の活動費です。
学校にかかる費用以外にも、学校外活動費に多くの費用がかかっている点がポイントです。

 

なお、私立小学校の教育費用が非常に高いですが、私立小学校に通う児童の割合は全体の1.3%程度であり、大半の方は公立小学校に通っているので、公立小学校の教育費用を参考にするとよいでしょう。

 

大学での教育費用

以下、大学における教育費を記載しています。初年度に入学費用が多くかかるため、初年度の費用を記載しています。
ポイントとしては、大学等の教育費は、進路によって大きく差が出てくることです。大学の場合、国公立と私立の違いだけでなく、進学する学部によって大きく異なります。一般的には文系よりも理系、医歯系のほうが授業料、入学金ともに高くなる傾向にあります。
また、以下の大学へ支払う費用以外に、受験費用も必要になります。また、通学先が遠い場合は一人暮らしとなり、仕送りや家賃、家財道具の購入費用なども発生しますので考慮しましょう。

 

 

幼稚園~大学までの教育費用合計

上記は、幼稚園から大学までの1年間の費用でしたが、以下に幼稚園~大学までの費用総額を見てみましょう。

 

 

私立小学校の費用は高いですが、私立小学校に通う児童は全体の1.3%程度であること、また中学校までは無条件で公立学校に通わせることができるため、全てを私立に通うパターンは考慮しなくてもよいかと思いますが、お子様の希望や学力、お住まいの地域の事情によっては、高等学校から私立学校に通うパターンを考慮しておくべきでしょう。
お子様が中学校や高等学校ぐらいになると、ご自身の希望や学力、将来なりたい職業などから、文系学部や理系学部のどちらに進むかが決まってくるかと思います。上記を見ますと、文系学部に進む場合はおおよそ800万~1000万円私立理系の学部に進む場合は1300万円程度が必要であることがわかります。
また、上記以外にも、お子様が大学進学した場合に、場合によっては仕送りや家賃の負担も発生することも考慮しておきましょう。

 

【参考】

令和3年度子供の学習費調査の結果について (mext.go.jp)

(参考2)国公私立大学の授業料等の推移 (mext.go.jp)

(資料1)令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について (mext.go.jp)

 

教育費用の計画

上記の説明で、お子様1人あたりのおおよその教育費用が把握できたかと思います。ただし、お子様の進学希望先によっては、必要となる費用もだいぶ変わってきます
最近は中学受験をされる方も増えてきていますし、高等学校からは私立高校に通う方や、その後理系学部や医歯系学部を希望される方もいらっしゃると思います。多くのお子様は、中学校や高等学校ぐらいになってくるとご自身の進学先の希望がはっきりしてきますが、逆に言うとそれまではお子様がどのような進路を進むのかわからず、資金計画が立てずらいですね。高校生ぐらいになって急に医歯系に進みたいと言われても困ってしまいますので、日ごろからのコミュニケーションとあわせて、早い段階からの資金計画を立てておくのも重要になります。

 

具体的には、お子様が産まれた瞬間から、大学までの教育費用を考えだすといいでしょう。
お子様が中学生ぐらいまでの間は、教育費もお子様一人当たり年間50万円ぐらいなので、日々の生活費からの捻出で何とかなるかもしれませんが、私立高校に通われたり、大学に入学されたりしてくると、一人当たり100万円/年ぐらいの支出となってきます。多くの場合、親も40歳代から50歳代ぐらいに差し掛かる時期なので収入もそれなりに増えてくる時期ではあるのですが、仮に親に万が一のことがあった場合などにも備えて、お子様の教育費用は確保しておきたいところです。

まずは、お子様が産まれた時点から、大学での教育資金を準備していくことを考えてみましょう。
お子様が18歳になるまでの間にどの程度の資金をためておくかの目標をたて、積立NISAなどでコツコツと積み立てておくことをお勧めします。18年という期間があると、期間分散されるのでリスクを押さえることができますし、18年間の複利効果により単純に積み立てをするよりも多くの利益を得ることも可能になります。

また、ご自身が不慮の事故にあった場合に備えておくことも大切です。例えば学資保険は、親(契約者)が死亡・高度障害になった場合、それ以降の保険料は不要となり、満期時にお祝い金を受け取ることができます。現在、学資保険の返戻率はかなり低いので、資金を増やすという目的での活用は見込めませんが、親が死亡したときの保険の位置づけと、NISAなどと比較して確実に貯められる点から、活用するメリットは十分にあると考えます。

お勧めとしては、積立NISAと学資保険を併用し、リスクを押さえつつ長期投資によるリターンを得ることを考えてみたらよいと思います。どの程度の金額をどの程度の比率で併用すべきかは、各ご家庭の事情によって違ってきますので、ご家族で検討をされたり、ライフプランナーなどに相談してみるとよいかと思います。